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東京都最低生計費試算調査の結果(報告)

2019/12/24

=東京で若者が普通に暮らすためには少なくとも時給1500円が必要=

10月に改定された東京都の最低賃金は1013円で、初めて1000円を突破し、全国で最も高い最賃額である。但し、この金額では、1日8時間で月21日働いたとしても月額17万円ほどである。ここから税金・社会保険料などを差し引くと、可処分所得は12万円~13万円にしかならない。

今回の調査は、東京都で労働者が普通に暮らすために必要な費用を科学的なデータに基づき明らかにすることであった。

具体的には、主に東京地評に加盟する各単産の労働者を対象に、生活のパターンを調べる「生活実態調査」及び持ち物をどれくらい所有しているのかを調べる「持ち物に関する調査」を実施し、その結果をもとに生活に必要な費用を一つ一つ丁寧に積み上げていく「マーケット・バスケット方式」により、普通に暮らすために必要な費用を算定した。

今回の調査は5月に開始し、3238人が調査票に答えた。そのうち10~30代の単身者411人分についての分析結果である。

家賃が比較的安い「節約型」の北区と、「住みやすさ」を重視した世田谷区、アクセスの良い新宿区の三つのモデルを設定し分析した。月労働時間を150時間で換算し、北区は男性が1664円で女性が1642円、世田谷区は男性が1730円で女性が1708円、新宿区は男性が1772円で女性が1750円で、それぞれ男女ともに1600円を超えた。

監修した中澤秀一静岡県立大学准教授は「東京の最賃1013円では普通の暮らしはできない。少なくとも時給1500円以上は必要となる」と語った。

この取り組みは、生命を維持するだけの生計費算出が目的ではない。人付き合いができ、ささやかながらも余暇を楽しめる、憲法が定める「健康で文化的な最低限度の生活」に必要な費用を示す試みだ。

特徴の一つは、所有率7割を超える物を必需品とする考え方。7割に届かなくても当事者による討議を行い判断する。例えば電気アイロンについて「仕事の身だしなみに必要」「クリーニング代の節約になる」などの意見が出され必需品と判断されれば、量販店の最安値1195円を法定耐用年数で割った月額17円を費用に数える。

二つ目が消費量を下位3割を基準とすること。例えばスーツの本数にしても個人差があるため、平均値ではなく、国際的な基準である、平均値の半分を超える水準として設定している。

その上で、理・美容、結婚式出席などの交際費、こづかいなども考慮しながら、住居費については想定地域の最低価格帯とし、1日の必要摂取カロリーに応じた食費を一つ一つ積算している。

国が検証可能な最低生計費を示さない中、自分たちの手で生計費を算出しようと、これまで全労連傘下の地方組織を中心に17の地域で生計費試算が行われてきた。この資料を最賃の大幅引き上げ、全国一律制実現を進める上での根拠として活用していく事が求められている。